俺様男に心乱れて

「琢磨?」

「ああ。おまえを捨てた男」

「ち、違うわよ。あの人達はここのマスターとアルバイトよ」

「あ、そう」

「気になるの?」

「別に…」

亮介さんはベーコンに塩を振り掛けてフォークを手に持った。

まだ何か言うのかなと思って少し待ったけど、無言で私を見ようともしないので、「ごゆっくり」と言って私はカウンターへと引き返した。


「さ、小枝子さん。あんな事して大丈夫だったんすか?」

私が戻ると案の定、健ちゃんがすぐに食いついて来た。

「大丈夫よ。ちょっとふざけただけだから」

「小枝子さんとあのイケメンって、知り合いだったんすか?」

「え? まあ、ちょっとね」

するとマスターが口を開いた。

「昨日の封筒は彼の忘れ物かい?」