俺様男に心乱れて

「どっちがいいか迷ってさ、両方買っちゃったよ」

「マスター、こういうの買う時、恥ずかしくなかったんですか?」

「全然。仕事だからね。小枝ちゃんも仕事だと思って、着替えて来なさい」

「分かりました…」

私は黒いストッキングを選んだ。白だと、脚が太く見えちゃうから。

「あ、また朝食を食べ損なっちゃったんですけど…」

「そう? サンドイッチでいいかい?」

「はい」

「用意しておくよ」

「マスター、いいんですか? もう店を開ける時間ですよ」

すかさず健ちゃんから抗議の声が上がった。我ながらもっともな抗議だと思う。

「いいの。腹が減っては戦は出来ぬって言うだろ?」

「俺も朝メシ食ってないんすけど?」

「おまえはいつもだろ? 体が慣れてるから大丈夫だ」

「チェッ。マスターはいつも小枝子さんには甘いんだよなあ」