「それは止めとけよ」

そう言って強姦男は長い腕をスッと伸ばし、私の手から携帯を奪った。

こうなったら玄関に置いてある固定電話を使うしかない。使わないのに引いて損したと思っていた固定電話だけど、引いておいて良かったわ。

私が布団で体を隠しながらベッドを出ようとしたら、強姦男がグイッと布団を引っ張り返した。

「引っ張るなよ。寒いじゃねえか」

「放して」

「いやだ」

「放せ」

「やだね」

「放してよ、この強姦男!」

力ではこの男に到底敵うはずもなく、裸を見せるのは絶対に嫌だし、布団を引っ張り合う内に悔しさと情けなさで涙が出て来た。

「おい、泣く事はないだろ?」

「うるさい!」

落ち着き払った男の態度が、余計に腹立たしかった。