俺様男に心乱れて

「演技?」

「女優志望の私には、そんなのお見通しなんだから…」

「へえー、女優志望ね…。ちょうどいいや」

「何がちょうどいいのよ?」

「いや、こっちの話。それよりさ、ちょっとお茶でも飲んで行かないか? その後送って行くから」

今度はサラリと自然な感じで亮介さんは言った。でも…これも演技だわ。と言うか嘘。

それを知りながら…

「じゃあ、少しだけね?」

と私は言ってしまった。騙されたふりをして。

たぶんこの後起こるだろう事を考えたら、体の芯が熱くなるのが自分でも分かった。