俺様男に心乱れて

私がいなくなっても、きっと誰も寂しいなんて思ってくれない。

ああ、琢磨…

いつからか、琢磨だけが私の心の支えになっていた。
7つも下の琢磨に、私は想いを伝える事が出来なかった。

琢磨にとって、私は都合のいい女に過ぎなかった。
琢磨が求めれば、私はいつでも抱かせてあげた。

行為の最中、何度『好きよ』と言いそうになったことか…

もし私がそれを言っていたら、私達はどうなっていただろうか。

今でもそんな思いはある。でも、琢磨が私を愛する事はなかっただろうと思う。重荷になって離れて行くだけ、と思った私の判断は間違ってなかったと思う。

琢磨は、まだ本当の恋を知らない子供だった。
そして琢磨が恋に目覚めた時、その相手はやはり私ではかなった。ほんの少しだけ、期待してたのになあ…

琢磨…元気にしてる?
いま、幸せなの?

涙が一筋、頬を伝った時、トントンとドアをノックする音がした。