『ノーザンアイランド株式会社です』

すぐに女性が電話に出た。

「あ、あの…お、御社の封筒を拾ったのですが、大事な物かなと思いまして…」

『封筒ですか? 部署名や氏名などは書いてありますでしょうか?』

「封筒には特には何も…。御社の社名と住所と、この番号が印刷されているだけです」

『そうですか。それだけですと何とお応えして良いのか分かりません。封筒の中をご覧いただいてもよろしいでしょうか?』

なるほど、それもそうね…

「分かりました。中を見ますので、ちょっと待ってもらえますか?」

『はい、いいですよ』

私は細い紐を解き、封筒を開けて中身を取り出した。

「もしもし。企画書と書いてある分厚い書類が入ってました。あ、”北島亮介”という署名があります」

私がそう言うと、相手の女性が一瞬『ハッ』と息を飲む気配がした。