「小枝ちゃん、それは何だい?」

マスターは私が持っていた水色の封筒を目ざとく見付けて聞いてきた。

「あ、えっと…落とし物?」

「道端にでも落ちてたのかい?」

「いいえ、どちらかと言うと忘れ物、かな?」

「誰の?」

「あ、えっと…ちょっとした知り合いです」

ダメだ。これ以上話すと、今朝の事がばれちゃいそう。

「ふーん、届けてあげれば? 店は見ての通りまだ暇だから、少しぐらい抜けてもいいよ」

「はあ、じゃあちょっと連絡してみますね?」

私はそう行って裏口の方へ戻り、携帯を取り出して封筒に印刷されている会社の電話番号に掛けてみる事にした。