俺様男に心乱れて

「小枝子…」

「はい?」

「それは婚約指輪だ」

「婚約……?」

「結婚しよう?」

「………」

声が、出なかった。
亮介さんが、私にプロポーズ?

「イヤなのか?」

「イヤ? イヤなわけないじゃない…」

「じゃあ、答えはイエスだな?」

「ちょっと待って。亮介さん、本気で言ってるの? 冗談だったら怒るよ?」

「本気だよ」

「私なんかでいいの?」

「”なんか”なんて言うな。嫁にするなら小枝子しかいないと思ってるんだから」

「じゃあ……いいよ」

「ありがとう」

私は亮介さんにギュッと抱きしめられた。

「夢だったら、覚めないで…」

「夢なんかじゃないよ」


もう一度指輪を嵌めてもらい、それを見ていたら漸く実感が湧いてきて、嬉し涙がこぼれだした。

「小枝子、愛してるよ」

「私もよ、亮介さん…」