俺様男に心乱れて

「サイズはピッタリだな」

「すごい偶然ね?」

「寝てる間に……ったからな」

「え? 何?」

亮介さんが何て言ったのか、よく聞き取れなかった。

「何でもない。それより、どうだい、それは?」

「凄く素敵。さぞや高いんでしょうね。傷付けたら大変だから…」

私は指輪をそっと抜き、「はい」と亮介さんに差し出した。

「”はい”っておまえ…、受け取ってくれないのか?」

「受け取る?」

「おまえのために買ったんだぞ」

「私のため? 嘘ばっかり…!」

「嘘なもんか」

「からかわないでよ。私にこんな立派なダイヤなんて…有り得るわけないじゃない」

「おまえの誕生石だろ?」

あ、そう言えば私の誕生日は4月で、誕生石はたしかにダイヤだった。

「そうだけど…」