俺様男に心乱れて

「もういいぞ」

ゆっくりと目を開くと、私の手の平に紫色のベルベットで被われた小さな箱が乗せられていた。

こ、これは、もしかすると…

「開けてみて?」

コクンと頷き、そっと蓋を開いてみると…何と表現すればよいのか分からない、神秘的な光が目に飛び込んできた。

「これって、ダイヤモンド?」

「そのはずだよ」

「本物?」

「たぶんね」

「凄い…。こんなに大きくて綺麗なダイヤって、見た事ないわ…」

それはプラチナの台に、何カラットか分からないけど、大きな粒のダイヤがキラキラ輝く、それは見事な指輪だった。

「ちょっと貸してごらん」

「あ、はい」

小箱ごと渡すと、亮介さんは小箱からダイヤの指輪を摘み上げた。

そして私の左手を持ち、薬指にスーッと嵌めてくれた。