俺様男に心乱れて

「買い物? 無駄遣いしたの? 珍しいわね」

亮介さんは前に自分でも言っていたけど、余計な事にはお金を使わない人だった。

「無駄遣いじゃないよ。どれも必要な物さ。俺達にとって」

”俺達”って、亮介さんと私って事よね?

「何を買ったの?」

「一つ目はね……車だよ」

「車って、自動車?」

「普通はそうだな」

「どうして?」

「今までは一人だったから、自分で車を持つ必要がなかったけど、これからはおまえがいるからな。車があれば、いつでもいろんな所に連れてってやれるだろ?」

「ありがとう」

「嬉しいか?」

「うん、嬉しい」

本当はそんなでもない。だって、私は亮介さんが傍にいてくれさえしたら、どこにも行かなくていいと思ってたから。