俺様男に心乱れて

「ええ、ちょっと…」

ヤダ、私ったら顔に出ちゃったのかしら…

「小枝子さん、こんにちは」

「あ、こんにちは、柚子(ゆず)ちゃん」

柚子ちゃんは私の跡にこの喫茶店で勤めるようになった女の子。私より2つ年下だけど、ウェイトレスの経験者で、仕事を覚えるのが早くて助かっていると、マスターは言っていた。

ついこの間までは私が着ていた青いメイド服がよく似合う、可愛らしい女の子だ。


「あら、見せてもらってもいいですか?」

「ええ、いいわよ」

さすがに女の子だけあって、柚子ちゃんは私が左手の薬指に嵌めた指輪にすぐ気付いてくれた。

「うわあ、綺麗ですね…」

「小枝子さん、それダイヤっすか?」