俺様男に心乱れて

「でも？」

「倫子さんの事、やっぱり気になっちゃう」

「心配するな。俺を信じてくれ」

「うん……」


私は亮介さんを信じたいと思う。でも、倫子さんという人が才媛で優秀という点が特に気になってしかたなかった。私とは正反対だから。

私は高校しか出ていないし、会社経営の事とかには全く知識がない。当たり前だけど。

倫子さんみたいな人が、常に亮介さんの側にいると思うと、心配しない方がむしろおかしいと思う。


でも…亮介さんを信じるしかないよね？



「そう言えば亮介さん、会社に行かなくていいの？」

「行かないとなあ。今頃は社員が騒いでるかもな」

「まあ。でも、寝てないのに大丈夫なの？ 休めない？」

「そうも行かないよ」

私は亮介さんを喫茶店の出入口で見送った。

亮介さんはマスターに会釈して、

「じゃあ、行ってくるよ」

「行ってらっしゃい」

チュッ

私にキスして行った。

つい顔がほころんでしまう私にマスターは、

「よかったね、小枝ちゃん。ハッピーエンドだね」

と言ってくれた。