俺様男に心乱れて

「食べていいかな?」

「ええ、もちろん。食べて?」

「じゃあ、いただきまーす」

亮介さんはよほどお腹が空いていたらしく、トーストやハムエッグなんかをモリモリと美味しそうに食べ始めた。


「フウー、旨かったあ」

亮介さんは、あっという間に全部平らげてしまった。

「足りたの? マスターにお代わり頼もうか?」

「いや、いい。満腹にしたら寝ちゃいそうだ」

そうだった。亮介さんは夕べ一睡もしてなかったんだ…

「ごめんなさい。私のせいで…」

「気にすんなって」

「うん…」

マスターがコーヒーのお代わりをくれて、食器を下げてくれた。


「で?」

「何?」

「香水の女よ。ごまかそうとしてない?」

「してないよ。話すから、誤解しないで聞いてくれよ?」

「うん」

私は緊張し、ゴクッと唾を飲み込んだ。