俺様男に心乱れて

「そうか…。あの時、否定しておけばよかったな?」

「そうよ。でも、よかった…」

私はホッとして、自然に頬が緩んでいった。ところが…

「あっ!」

そこである重要な事を思い出した。

「香水の臭いは? あなた時々女ものの甘い香水の臭いをさせてるじゃない。あれはどういう事なの?」

「ああ、あれは…」

亮介さんが申し訳なさそうにしたところで、マスターがモーニングセットを持って来てくれた。

「おお、これは美味しそうだ。実は夕べから何も食べてないんですよ」

「そうでしたか。足りなければもっと作りますから、遠慮なく言ってください」

「ありがとうございます」

マスターは去り際、私に『どうだい?』という顔をしたので、私は『さあ…』という意味で首をちょっと傾けた。