俺様男に心乱れて

「ちょ、ちょっと待て。なぜそうなる?」

「だって、前に黒崎さんが言ってたから…」

「ああ、そうだったな。『女遊びはほどほどに』とか言ってたな」

「でしょ?」

「あれは嘘だから」

「嘘なの?」

「ああ。学生の頃は確かに色々と無茶をしたが、社会人になってからは仕事一筋だ。女と遊ぶ暇なんかない。それは黒崎さんもよく知ってるはずなんだ」

「じゃあ、どうして黒崎さんはあんな事を…?」

「何でだろうな。もしかすると、小枝子を牽制したのかもな」

「私を牽制?」

「ああ。つまり『あなたは坊ちゃんの遊び相手の一人に過ぎないんですよ。いい気にならないでくださいね』ってな」

「私、実際にそう思っちゃってた」