俺様男に心乱れて

亮介さんのボソッと、仕方なくという感じで言った『愛してる』の一言が、今度は私のハートを真っ直ぐに射貫いた気がした。

その甘い痛みに、私は言葉もなく、熱い涙が次々と溢れては落ちて行った。

「おい、どうしたんだ?」

「だって、嬉しくて…」

「大袈裟だなあ。そんな事は前から知ってたろ? ほら、これで拭けよ」

そう言って亮介さんはグレーのハンカチを貸してくれた。

「知らなかったもん。一言だって『好き』って言ってくれた事ないじゃない…」

「そうだっけ? それを言うならおまえだって、言った事ないだろ?」

「私は言わないように我慢してたのよ」

「どうして?」

「あなたにフラれたくないから」

「そうか…。よし、こうしよう。これからはお互い素直に、思った事は何でも言い合う事。な?」