自動ドアが開くと共にチャイムが鳴り、マスターと目が合った。

「小枝ちゃん、どこへ行ってたんだい?」

「え?」

「彼氏…北島さんだったかな? 彼が血相変えて小枝ちゃんを探してたよ?」

「そうですか? 家で寝てただけですけど」

「ああ、そんな感じだね」

あ、頭はグチャグチャだし、昼間のメイクもそのままだった。
うー、今の私って、相当酷い容姿なんだろうなあ。

「彼には連絡したのかい?」

「いいえ」

「どうして? 彼、今もきっと心配してるよ」

「もう、いいんです」

「おやおや、また喧嘩したんだね?」

「また、って…」

「仲がいいほど喧嘩するって言うからね」

「そんなんじゃありません」