その言葉に、オーガが笑う。


「専門家?何だそりゃ」


「どっかの国王とか、長老とかさ。情報をたくさん持ってる相手が良いって意味だよ」


「………」


オレは黙ったまま、オーガと店主の会話を聞いていた。


確かに、過去の歴史を洗えば、そんな不思議な出来事が書かれた書物が見つかるかもしれない。


…てことは、次に行くべきは、書庫とかそういう…


「国王って言やぁ、知ってるか?」


オーガの問いに、オレは首を傾げた。


「…何が?」


「メルティアスの国王の命が、あと僅からしいぜ」


―――――メルティアス。


久しぶりに聞いた国名に、心臓がどくんと脈打った。


「命が?そりゃ危険じゃないか。メルティアスって言えば、結構な大国だろ?」


「何でも、重い病気にかかったらしい。国は大騒ぎだってさ」


オレは何も言えずに、グラスを持つ手に力を込めた。


国王の命が、あと僅か―――…?