それならいっそ…… 「ウタクを信じるより、先生を信じる」 そう。 お医者さんが母を助けてくれるって信じることに決めた。 「医者も所詮人間だ。神に敵うはずがない」 「それでも私は、ウタクより先生の方が信じられるから」 「ふん、馬鹿の次は愚か者の称号を与えてやろう」 ウタクは不機嫌そうに息を吐き出した。 もう、愚か者でも意気地なしでも何と呼ばれてもいい。 「じゃぁ……私、帰るから」 「待て」 家に帰ろうと境内に背を向けると、ウタクの澄んだ声が引き止めた。