「いきなりで驚かれるかと思いますが……もう限界です。
実雨さんを……俺にください」
無駄のない動作で下げられた頭。
ただ立っているだけより、何倍もウタクの美しさが増した気がする。
「実雨さんと俺は少し違います。それでも実雨さんとなら、一緒に幸せになれると思ったんです。
自分の気持ちに気付いた時、我慢が限界に達してしまいました」
「……ウタク」
もしかするとウタクは、ずっと悩んでいたのかもしれない。
人間である私と、神である自分の違い。
だから私が自分の気持ちを見つめ直しやすいようにわざと突き放して、
その間に自分の気持ちとも向き合っていたのかもしれない。
そして今、ここにいることが答えなんだ。
私のこと、散々「馬鹿だ」って言ってたけど、不器用すぎるウタクだって、充分馬鹿だと思うよ。

