「……実雨?」
挨拶が終わったのか、病院から母が出てきた。
「あ、お母さん!」
どうしよう。
ウタクのことなんて説明したら……。
私がアタフタしている間に、ウタクは前に出て母の元まで歩き出した。
「初めまして、ウタクと申します」
「は、はぁ……実雨の母です」
母は目を丸くしながら、ウタクの頭のてっぺんから足の爪先まで、視線を這わせた。
「日本語がお上手なんですねぇ」
ウタクは日本の神様だから日本語ができて当たり前だけど、母からすれば外国人に見えるらしい。
「実雨、どこでこんな綺麗な外国人の方と知り合ったのよ?」
「えぇっと……じ、神社で」
「あんな僻地(へきち)の小さな神社で?」
「お、お母さん!」
ウタクはその神社の神様なんだってば!

