「ご褒美でもなんでも……遅いよ!」
「そうか、そんなに待ち遠しかったか」
気がついたらこぼれ落ちていた涙を、ウタクはそっと指ですくい上げ、私を抱き締めた。
子供扱いされているようで悔しいけど、やっぱり腕の中は心地いい。
自分の気持ちを隠すように、でもウタクの腕が解けない程度に、
小さくもがくと、更に強く抱き締められた。
「なら実雨の気が済むまで詫びよう。どうして欲しい?」
「どうして欲しいって……」
困って顔を上げると、ウタクのいたずらな瞳が私を映し出していた。
遊ばれているとわかっていても、それさえも懐かしくて、愛おしい。
だけどいつまでもこうしているわけにはいかない。
周りの視線が気になり、離れようとした時……。

