ウタクは革靴を履いた足を、私に向かってゆったりと進める。
そして近くで止まると、唇の端をスッと引き上げた。
「お前を迎えに来たわけではないぞ」
「じ、じゃぁ何のためにここへ来たのよ!」
「もらいに来たんだ」
「は?」
「褒美をもらいに来た」
「褒美?」
「命をかけて願いを叶えたというのに……供え物がスーパーで買った特売の油揚げだけとはな。
割に合わんだろう。だから褒美に実雨をもらいに来た。迎えに来たわけではない」
「……ウタク」
そういうの屁理屈っていうんだよ。
でもご褒美なんて言われたら……嬉しくって突っ込めないじゃない。

