「……っ!!」
そこにいたのは……
真っ白な着物に身を包んだ狐の神様、
ではなく、
真っ黒なスーツに白いシャツ、紺色の細いネクタイをつけた……
狐の神様・ウタクがいた。
太陽の光で七色に輝く顎ラインまで伸びた髪、透き通るような肌は黒のスーツによく映える。
繊細で整った顔立ちに、全てをのみこむ大海のような深い青の瞳。
尻尾と耳は……術を使ったのか、姿を消している。
人間と変わりないウタクは、通り過ぎる人全員が振り返るほど美しい。
「なんで……ウタクが?」
嬉しいはずなのに。
驚きが勝って、唖然とするしかできない。

