そんなこと、今の母を見ていたら思うわけないのに。 「いいよ」 「え?」 「離婚してるならいい」 「実雨ちゃん!?」 「母を……よろしくお願いします」 言葉にして、胸にじんわりと熱いものが広がる。 まさか母の嫁入りを見ることになるとは。 なんだかおかしくて、でもやっぱり嬉しくて。 私は顔をクシャクシャにしながら笑った。 「実雨……ありがとう!」 「ちょ、お母さん!鼻水つけないでよ!」 同じく顔をクシャクシャにした母に抱きつかれて、私は慌てながらも「おめでとう」と祝福の言葉を送った。