狐に嫁入り!?



今まで父の借金を返したり、病気で入院したり、それなのに私のことをいつも考えてくれていた母。


大変だったと思うから、幸せになって欲しい。


「でもお母さん……お父さんとは離婚してたの?」

「それがね、たまたま病院で会って」

「え!?何それ、聞いてない!」

「2、3日前にね、リハビリがてらに院内を歩いていたら、熱で病院に来てた彼に会って。

反省してたわ。もう一度やり直したいって言われたけど、もちろん断って、代わりに離婚届を書かせたの。

提出は露木さんに頼んだから間違いないわ」


い、いつの間に……。

父に会いたいとは思わないし、今更一緒に暮らしたいとも思わない。


反省しているなら……どこか私達から見えないところで、幸せになってくれればいいと思う。



「ごめんね、黙ってて……」


母は小さく頭を下げた。


もしかしたら母は、私が父のことを知って元の家族に戻りたいと言い出さないか、不安だったのかもしれない。