「実雨、久しぶりね……元気にしてた?」
手術前で緊張や不安だってあるはずなのに、穏やかな口調で私のことを気遣ってくれる母。
いっぱいいっぱいなのは私だけみたい。
そう思うと、自分が情けなくなって笑ってしまった。
「元気にしてたよ。私のことより自分のことでしょ?」
「そうね、これから手術だったわ」
母は私の笑みにつられたかのように目を細めた。
それから一息つくと、天井を見上げながら口を開いた。
「でも不思議なの。全然……怖い気持ちにならない。100%助かるって、心のどこかで思ってる」
「うん、私も。
だって私と……神様がついてるんだよ?助かるしかないでしょ」
そうだよね、ウタク。
私の言葉に、母は微笑みながら頷き、手術室へと運ばれて行った。

