ウタクは、人間界で元気になった母と二人、平和に暮らすのが私の幸せだって思ってる?
そこにウタクがいなくても、ウタクはあやかしの世界で元気にいるから?
大神様も良い方向へと変わりそうだし、誰も傷つかずに済んで丸く納まったって?
「……私の幸せ……っ」
「実雨……?」
「私の幸せ、ウタクが勝手に決めないでよ!」
そこにウタクがいないのに。
私が幸せなはずないでしょう?
半端な覚悟で、ナライに頼んで、あやかしの世界へ来たわけじゃないんだから。
「人間界へ帰れば、何が幸せか気付くはずだ」
「私はもう気付いてる!」
「幸せの形は変わるものだ」
なんで私を拒むようなことばかり言うの?
「ウタクが、ウタクの手で私を、幸せにしてくれるんでしょ!?」
私の言葉を無視して、ウタクは術を唱え出す。

