「理解できないよ……ウタクの言ってることなんて」
またこっちの世界へ戻ってくるんだよね?
手術が成功するのを見届けたら迎えに来てくれるんでしょ?
「人間界まで送ってやろう。そうしたら……わかるはずだ」
そう言って、ウタクは私を抱きかかえた。
「ウタク……!ちょっと何するのよ!!」
「人間界へ送ってやると言っただろう。手術に間に合わなくなるぞ」
手術が始まる前に、一目母に会いたい。
「頑張って」って言いたい。
「私も、神様もついてるから大丈夫だよ」って安心させてあげたい。
でも……今、ここから離れたら……ウタクと一生会えなくなってしまいそう。
ウタクは私の気持ちなんて察していないのか、無視しているのか。
私を抱えたまま屋敷から出ると、勢いよく地面を蹴って宙を飛んだ。

