「ウタク……どういうこと?私、また人間に戻ったの?」


頭を触ると耳もなくなっていて、尻尾も引っ込んでいた。


それでもウタクはちゃんと天狐のまま。

髪が短くなっていて、白に七色の光が美しく、尻尾は四尾。

青い瞳は変わらず健在で目が合うと、スッと細められた。


「完璧な人間に戻ったわけではない。恐らく精霊の力が上手く入らず、外見だけ金狐に馴染んでいないんだろう。

なんせ触れた程度の口付けだったからな」


「ふ、触れた程度って……」



あれでも立派なキスでしょう?

よく考えたら、あの瀕死状態で交わしたキスが私のファーストキス。

なんともすごい思い出となった。


「金狐に戻りたければ、もう一度してやろうか?今度はもっと深く長い口付けを」


笑みを浮かべているウタクはすごく嬉しそう。