「大神様を嫌う人や存在を否定する人ばかりじゃないって……信じたら?」


「…………阿呆みてぇじゃが」



大神様はポツリと言葉にし、膝からカクンと崩れ落ちた。



「信じて、裏切られたら……またワイが阿呆見る。苦しいだけじゃが……」



項垂れた顔から、ポタポタッと緋色の涙が落ちて、地面にまだら模様ができる。


「違うよ……苦しみから解放されるんだよ」




自分を大切に思ってくれる人がいることを知って、信じて……幸せになる。


だから、強くなれる。



しんと静まり返る本殿内には、神官が奏上する祝詞が響く。





顔を上げた大神様は、黄金色の瞳をしていた。