「あー!もうっ!なんで俺、実雨ちゃんの前に出て来たんだろ!ホント本能に忠実すぎる!

皐月みたいに我慢できればいいのに……」


自分の不甲斐なさに落ち込むように呟く。


皐月さんは我慢したというより、私に対して冷たいっていうのがあるんじゃないかと思うけど……。



「でも出てきちゃったものは仕方ない!この際だしハッキリ言うよ。

俺は実雨ちゃんが好きだから、実雨ちゃんの幸せが一番。

ウタクがそれを守ろうとしたなら……尚更、連れていけない」



ナライ……。


どうして皆、優しいんだろう。


こんなにも私のことを考えてくれる……。



「ナライ。私も健康になったお母さんの側にいられるのが一番の幸せだって思ってた。

でも……そうすると、一つのことがずっと気になって……心から幸せだって思えそうにないよ……」



一つのこと。

ナライなら……わかるでしょ?