……ここだ!!
私は探していた精霊の名を呼ぶことにした。
「ナライー!!私!実雨だよ!頼みたいことが……!」
『あるから出てきて欲しい』と、言葉を続けるつもりだったのに。
ザザァッと風が吹き荒れ、上から黒い影が、地面をビリビリと振動させるほど、勢いよく飛び降りてきた。
「な、何!?なんで実雨ちゃんいるの!?」
現れた黒い影は驚いて目を見開き、私を覗きこむ……ナライだった。
焦らすなんてことはせずに、私がお願いするより早く現れてくれるなんて……純粋なナライらしい。
余裕のない状況だというのに、笑いがこぼれてしまった。
その綻んだ口へ再度力を入れて引き締め、私はナライの黒い瞳を真っ直ぐに見詰めた。
「ナライ……お願いしたいことがあるの」
私の様子に、ナライも驚きから真剣な眼差しへと変わる。

