母と、もう会えないかもしれないと頭では考えていたけど、心ではそんな気がしていなかった。
ウタクがどうにかしてくれるんじゃないかって。
自分の都合のいいように思い込んでるだけかもしれないけど……ウタクの不器用な想いを知った今は、そんな風に思えてしまう。
その気持ちが……今、私を走らせる。
病院から出て、再度神社へ向かった。
日はもうとっくに暮れていて、辺りは静寂に包まれていた。
「皐月さん!お願い……!!お願いだから、そっちへ行かせて!ウタクを助けたいの!」
風が吹いた。
だけど、それは木々をただ揺らしただけに過ぎなかった。
皐月さんが私に優しいはずがない。
……なら、どうやって……あやかしの世界へ行く?
他に何か方法は…………。
「……あ!!」
一人の人物……
……いや、一匹の精霊が頭に浮かぶ。

