それでも……まだウタクが助かる望みがあるのなら……。
そう思うと無意識に、スーパーの袋を持ったまま神社へ向かって走り出していた。
「ウタク!!」
私の声が神社に響く。
階段を駆け上がったばかりに、息が上がっている。
肩を上下させながら私は木々で囲まれたあたりを見渡した。
夜の神社は、神秘的とはまた違う雰囲気が漂っている。
私の荒い息遣いだけが耳に響き、ウタクの声も……現れそうな気配も何もない。
ここならウタクがいるあやかしの世界に繋がってるはず。
もう皐月さんでも構わないから!
「うるさい」なんて言って怒られても構わない……ううん、たぶんそれ以上にヒドイこと言われるんだろうけど……
それでも構わないから……!
誰か……現れて……。

