ウタクに何度も「馬鹿」だと言われてきたけど、やっぱり私はバカかもしれない。
なんで……こんな時に空なんて見上げちゃったんだろう。
ウタクを思い出して痛む胸が呼吸を邪魔する。
……息ができない程に苦しいよ。
「ウタク……今、どうしてるの?」
あやかしの世界じゃまだ一日経ってない。
それどころかきっと2時間程度しか時間は過ぎてないんだ。
「まだ願いも叶ってないし……きっと大神様も罰は下してないよね?」
妖しくて冷たいオーラを身にまとっていた大神様。
緋色の瞳と目が合った瞬間、体が固まった。
ウタクを何の感情も持たずに蹴り上げた。
あの大神様なら……血も涙もなく、ウタクを即行処分しててもおかしくないかもしれない。

