それから私はハンバーグ弁当とのり弁を持ったまま、スーパー内をくまなく回った。
グルグルと歩きながら、他の安売りのものもかごに入れ、結局選んだのはのり弁。
贅沢するんじゃなくて、日常に戻ることが大切。
そう思い、ハンバーグ弁当を元の場所へ戻してレジへ向かった。
スーパーを出るともうすっかり辺りは暗くて、見上げた空にはお月さまが顔を出していた。
「……星」
月と共にちらほらと輝く星。
あやかしの世界で見た夜空が頭の中に浮かぶ。
もっと遠くからでも眩しいほどに煌めく星達が幾つもあった夜空。
ウタクは夜にしか見れない景色だから、これが夜景だと言った。
ネオンが光る街中も夜にしか見れないけど……
……あやかしの世界の星空はそれ以上に美しかった。

