「まだ変化がでてないだけかな……ねぇ、ウタク……あれ?」
そう言えばすぐ隣、というより密着したまま眠ったウタクの姿が布団になかった。
「ウタク?」
呼びながら襖を開けて、繋がっていた部屋を確認する。
先に朝食を取っているのかも……と思ったけど、そこにもウタクの姿はなかった。
代わりに廊下から声が聞こえてくる。
「皐月、例の鍵を」
「ウタク様……婚姻の確認が先でございます」
「ここにある」
ウタクと皐月さんの声だ!
襖の向こうでは声と共に、ウタクが昨日名前を書いた紙でも見せているのか、カサカサという乾いた音がした。
「名前はありますね……では実雨様のお姿を……」
皐月さんの気配が襖へ近付く。

