部屋へ戻ると、出て行った時にはなかった机と紙切れ、そして硯と筆が用意されていた。
机と言っても普段私が学校で向かっているような机じゃなくて、黒い光沢があり、台のように華奢な机。
紙も和紙でできていて、既に何かが書かれているようだった。
「ウタク、これどうしたの?」
「婚姻の儀のため、皐月に用意させた」
人間界で言う婚姻届みたいなものかな?
「へぇー、これに名前書くの?」なんて呟きながら紙を手に取って見ていると、ウタクに横から素早く取り上げられた。
「お前、文字も読めんのか」
「よ、読めるよ!何で!?」
「これは絶縁の儀に使う紙だ。これに名前書いたら一生俺の嫁になれんぞ」
「え!?そうなの!?」
文字は読めるけど……正直、筆で描かれている達筆な紙の文字は読めなかったんだよね……。

