「あとは……そうだな……」
まだ人間をバカだなんて思うところがあるって言うの!?
怒りを抑えながらも耳を傾ける。
「人間は自分の幸せばかり願う」
「……そんなことないよ」
「あぁ……お前は母親のためだったかな?」
「まぁ、そうだけど。自分のことを言いたいんじゃなくて、もっと他にも大切な人の幸せを願ってる人はいるってこと!」
「自分が幸せじゃなくても、か?」
「そうだよ!」
「そういう奴はもっと馬鹿だ」
「なんでそういうこと言うのよ!」
私は食ってかかるようにウタクの着物の袖を掴んだ。
ウタクは振り払うことをせず、もう片方の腕を上げて……ソッと私の頬に触れた。
「だが……馬鹿な奴ほど可愛いと言うだろう?」
青い瞳が月を映して深く光る。

