「お前は疑うということを知った方がいいな」


ウタクは笑みを浮かべながら音もなく私から体を離した。


「ちょ……ウタク!また騙したの!?」

「気付かんお前が悪い。また、と思うほど何度も同じようなことをしてきたというのに」


そりゃ最初会った時から何度も騙されてきたけど……まさかこんな時にまで意地悪されるなんて。



「私、真剣だったんだから……」


願いを叶えるために……


ウタクのお嫁さんになるために……


全部捧げるんだって……。



「実雨……お前のそういう顔も悪くない」


「……っふざけないでよ……!」



ウタクが私の頬に指を這わせ、いつの間にか流れていた涙をソッと拭っていった。