――――やがて、

屋敷が全て直る頃、日はとうに暮れ、辺りは群青色に染められていた。

庭にある石灯籠がほのかに灯り、池にチラチラとオレンジの模様を作る。


ウタクの部屋も電灯という名の照明はなくて、雪洞(ぼんぼり)だけで照らされた緩やかな明るさ。


深い夜を感じる。

あやかしの世界の夜は神秘的で……少しだけ心細くなってしまいそう。




「だ……ダメだって、ウタク!」


「もう少しいいだろう?」


「ダメだよ。もう、これ以上は……!」


「お前なら……まだ足りんだろう?」


「そんなことないよ!……私…………これ以上、食べられないから!」



怪しい会話だけど、全く色気も何もない。


ウタクが私のお椀にご飯を盛ろうとしているのを、私が必死に拒否していただけ。