けど皐月さんが素直にお叱りを受け止めるような性格じゃないのはわかってた。


「私が仕えているのはウタク様です。狸にとやかく言われる筋合いはありませんね」


ツンッとした態度でヤマジから顔を逸らす。


その様子を見てヤマジは深いため息をついた。



「私に反発するのは構わないですが……これだけは言っておきます」


ヤマジの声色が変わる。


それに気付いた皐月さんも顔を向けた。


二人の視線が絡み合う。




「皐月……貴方は仕えている主人の幸せを願ったことはありますか?」




ヤマジの言葉に皐月さんは糸のように細い目をハッと開けた。