神だと名乗る男の正体は知ることができなければそれでもいい。 でも母だけは……。 「わかった!京豆腐じゃないけど油揚げを用意するから待ってて!」 私は男に一方的に言い聞かせると、 神社の階段を下りて家まで帰り、冷凍庫から買い置きしていた油揚げを出した。 「時間ないし……凍ったまま渡そう」 学校も行かなくてはならない。 すでに遅刻の時間。 凍ったままの油揚げを片手に私は神社まで戻った。