顔を上げていられなくて下を向いた。 まだ身体は濡れていて、地面に水が滴り落ちる。 それに交って涙も落ちた。 泣き顔なんて、絶対皐月さんに見られたくない。 そう思ってた。 だから唇を噛み締めて堪えてきたけど…… 「もう無理……」 「どうしました?」 皐月さんはいつもの口調で聞いてくる。 「もう……帰りたい……」 私の小さく呟いた声は涙と共に地面へ吸い込まれていった……。