嫌だ、と思った時に現れるのが皐月さんという狐。 「……本物のドブネズミになり下がりましたか」 足音も無く、冷めた声だけが庭に響く。 振り向かなくても声の主が皐月さんだということはわかった。 「ドブじゃなくて池に落ちたんですけど」 「……減らず口が」 小声で舌打ちするかのように呟くと皐月さんは私の元へ近寄ってきた。 「池に落ちてウタク様に気をかけていただこうなんてやり方がせこいんですよ」 「そんなこと思ってない!」 なんでそんな意地悪い考え方しかできないの!?