「ふん、楽しそうに水遊びか?」
私が落ちた池を横断するように掛けられた渡り廊下の橋から声を掛けてきたのはウタクだった。
「遊んでるように見える?」
いつもなら怒りながら言い返すところだけど、生憎、怒る気力は既に使い果たしていたようで、妙に落ち着いて言い返した。
「なら、飯でも探しているのか?その池に魚はおらんぞ」
「じゃぁどこの池なら魚がいるの?私、すごくお腹すいてるの」
皮肉を込めてウタクに言う。
聞いたウタクは元々無表情だったが、表情を更に無へとわざと変えた気がした。
少し、固くなった表情で……
「ふん、池に落ちたお前はつまらんな」
言い捨てる。

