皐月さんは私がめげずについてきたことを、もちろん褒めるわけはなく、
それでいて私が人間界に帰らなかったことを残念そうに態度で表すこともなかった。
少しだけ眉をしかめて「ここを木の葉一つ落ちていない状態にしてください」とだけ言って姿を消した。
「木の葉一つ落ちてない状態って……あり得ることなのか見本示してから姿消してよ!」
私は広大な庭の真ん中に立って叫んだ。
この庭にはたくさんの木々がある。
あやかしの世界の木々達は人間界と違って季節に反応しないのか。
春を迎えた桜のような木もあれば、夏真っ盛りかのような青々とした葉が生い茂っている木もある。
ということは、まさに秋冬真っ只中の木もあるわけで……。

