「仕事はできないくせにお腹はすくのですね」 真っ直ぐ伸びた廊下から濁りのない、静かな声が聞こえる。 さっきまでは見当たらなかった姿がゆっくり歩きながら現れた。 「……皐月さん」 狐達はやっぱり術が使えるんだ。 そして呼び掛けてすぐに答えるということは私を監視していたんだ。 「仕事できないって言ったって……もう校舎の1階と2階は綺麗にしたようなもんなんだけど」 「……校舎?……ともかく次は庭掃除をしてください」 「庭掃除って……!お昼ご飯は!?」 私は慌てて痛む腰を上げた。